触れるという表現しか出来ないほどの、ささやかな口付けを額に贈って。
本当は唇に触れたかったと言ったなら、あの男は一体どんな顔をしただろうか。











































自分の部屋というものは、体の感覚の一部が利かないときでも案外分かるものらしい。
戦国の世から、己がいるべき現代へ。
その一瞬の切り替わりが終わった瞬間、幸村はその場所が己の部屋だと分かった。
部屋の空気というか、雰囲気といおうか。何を基準にして己の部屋だと判断したかは不明だが、とりあえず一瞬でそれだと分かったのだ。
そして、そこに佐助がいるであろうことも。
幸村を取り巻く世界が切り替わる瞬間、その行き先にはいつも佐助がいた。
だから今回も、己が帰る場所には佐助がいるのだと。
「へ?」
しかし予想外のことは起きるものらしい。
幸村がこっちに戻ってきた瞬間、その体の位置は空中にあった。
そして下には人の姿。
「避けろ!!」
「は?!」
咄嗟に叫んだものの、宙に人間が急に現れて、しかもそれが降ってきたのを咄嗟に避けられる人間などそうはいない。佐助はその数少ない避けられる人間の内の一人だと思うが、降ってきたのが幸村ならば避けはしないだろう。
そして実際そうなった。
幸村は思いっきり佐助の真上に落下してしまい、思いっきり下敷きにした。
「ぐっ…」
「すまんっ大丈、」
謝りながら顔を上げて、佐助の顔を覗き込んで。
そして幸村は絶叫した。
「なっなっなっ…!!!お、おおおおお俺ぇぇぇ?!」
幸村が覗きこんだ顔は、まるで鏡に己の顔を映したかのように、そっくりな顔をしていた。
むしろ、目の前にもう一人自分がいる。
「な、何で…帰ってくるところを間違えたのか?!うっ……さ、佐助ぇぇっ!!」
いくら図太い神経をしている幸村でもこれでは流石に混乱する。思わず半泣きで本来帰る予定だった場所に居るはずの人間の名前を呼べば、幸村が下敷きにしている“幸村”が、その表情を呆れた笑みへと変えた。
そして、本物の幸村ではありえないような声と口調で言葉を発する。
「帰ってきて早々…ったく、あんたは」
「……ぇ」
目で読み取った情報と、今しがた耳で聞いた情報が食い違っていて、幸村は更に混乱した。
頭が真っ白になり目を見開いたまま固まっていると、己の首の後ろに手が回され、その手に力が込められる。そんなことをされれば顔が前に突っ込むに決まっている。
「ふぐっ」
顔面から何が布のような地面に突っ込んで呻くと、それが己のベットの敷布団だと分かった。どうやら幸村が落下した場所は己のベットの上だったらしい。通りで落下の衝撃が少ないはずだ。しかしそんなことが分かっても何も解決には至っていない。
幸村は慌てて再度顔を上げると、もう一人の自分の顔をもう一度確認しようと目を凝らした。
しかし。
「……佐助」
そこには、佐助がいた。
さっき確かに見た己の顔はどこにもなく、目の前には苦笑している佐助の顔があった。
「な…何で」
茫然とそう問いかけると、佐助が眉根を寄せて睨みつけるような目でこちらを見てくる。
「…あんたが消えて何週間経ったと思ってんの。俺様の分身と変化の術がなけりゃ今頃警察沙汰だっての」
「あ…変化」
そう言えばそんな術もあった。さっきの驚きで泣きたくなるような現象の理由はそれだったのだ。
理由が分かってほっとすると、佐助がぺしんと幸村の頭を軽く叩いた。
「はい、そんで疑問が解決したところでさ。…俺様に言うことは?」
「言う、こと…?う、え…っさ、す」
佐助に言うべきこと。
ごめん。すまん。申し訳ない。好きだ。大好きだ。会いたかった。待たせてごめん。ごちそうさま?
口にするべき言葉がたくさんあり過ぎて、それが頭の中でぐちゃぐちゃに絡み合う。
そして一緒に感情までおかしくなってしまったようで、目からぼたぼたと涙が溢れ出てきた。
「さ、佐助」
名前を呼べば、目の前の佐助は少しだけ微笑んでくれる。
それを目にしただけで堪らなくなって、喉がきゅうと締まって不格好な声が漏れた。そんな嗚咽も、溢れてくる涙も止めたいのに、自分ではどうにも出来ない。
泣いている場合ではないのに、笑みを向けられただけのことでこんな状態になっていては、話すどころかまともな単語すら発することができないではないか。
それでは駄目だとかぶりを振った幸村は、詰まった喉の隙間を縫って、何とか一言だけ言葉を絞り出した。
「ただい、ま」
それはちゃんと発音出来たのか、自分にさえ確認できないほどのへろへろな声で。
もう一度言いなおそうと、上手く話せない喉に力を込めようとすれば、佐助がそれを遮った。
「…おかえり、旦那」
そう言ってさっきより笑みを深くした佐助が、涙を拭うように頬へと指を滑らせてきた。いつもと変わらない佐助の冷たい体温が、熱の集まった頬撫でていく。
「めちゃくちゃ心配したよ」
「ん」
骨ばったその指の感触が心地よくて目を閉じれば、眼尻に溜まっていた涙が頬を伝い落ちた。まつ毛に散った涙ごとそれを佐助が拭って、それが終わればぐっと引きよせられた。
またも顔面からシーツに突っ込んで、耳元に佐助の声を聞く。
「あんたから血と硝煙の匂いがする」
「ふぁう」
返事が間抜けなのは、顔面からシーツに突っ伏しているからだ。
「そういうのは普通俺の担当なんだけど…。あんたが無事なら…まぁ、良いか」
そう言って佐助は、幸村の首の後ろに回していた手を退けてくれた。流石にそろそろ息が苦しくなっていた幸村は、腕に力を込めてすぐに上体を起こすと、ずずっと鼻を啜って佐助を見た。
「その…」
涙はさっきに比べれば随分収まったので、今なら自由に口も利ける。言わなければいけないことを、言っておかないと。
そう思ったのに、何から言えばいいのかが分からない。
困惑して視線を合わせたままの佐助をじっと見続けていると、佐助がこちらに手を伸ばしてきた。幸村から見て左側。佐助の右手が、頬へ添えられる。その手には依然幸村が巻いた赤鉢巻がそのままの状態で残っていた。あれから一度も外さなかったらしい。
「俺の、鉢巻…外さなかったのか」
「そりゃね、外せるわけないでしょ」
そう言った佐助は、頬に添えている方の手の親指を動かし、幸村の唇の輪郭を辿るように滑らした。
「朝起きて俺がどれだけ驚いたか」
「それは、お前が起きなかったから…」
「だからキスマークつけた、と」
「…っ!!!」
露骨にそれを口にされて、幸村は頭が破裂するかと思った。
頭がぐわんぐわんと揺れそうなほどに血が昇って、心臓はあり得ない速さで鼓動を打ちまくっている。
このまま放っておくと壊れてしまうかも知れない。
いや、もういっそこのまま壊れてしまいたい。
だって恥ずかし過ぎるから。
「そそそっそれは、お前がっ!」
「起きなかったから?」
「そうだっ!お前さえ起きていれば、あんな…あんな真似は!!」
もう思い出すだけで頭が沸騰しそうになる。
本当にどうして自分はあの時あんなことをしたのだろうか。できるなら今すぐその場に言って少し前の自分を全力で問い詰めたい。
そうやって幸村が心の底から後悔していると、佐助はものすごく真面目な顔をしてこんなことを言った。
「それは困る」
「何故っ」
「どうせなら起きてる時にやってよ」
「なぁっ?!」
何を言い出すのだこの男は?!と幸村が絶句すると、佐助は不意に口元を緩ませて幸村をぐいと引きよせた。
またもシーツに突っ伏す羽目になったが、顔を傾ければ息は出来る。幸村は佐助のほうへ僅かに顔を傾け、その表情を窺い見た。
「……!」
しかし、思ったよりもかなり近い位置に佐助の顔がある。
特徴的な色合いの髪が鼻先を擽る様な距離にあり、頬なんてもう触れられそうなほど近い。少し顔を近づけるだけで、きっと触れてしまえるだろう。
その距離の近さに幸村が息をのんで固まっていると、佐助はぽつりと呟いた。
「そろそろ聞きたいかな」
「え」
聞き返せば、佐助は楽しげに笑った。
「約束。あんたは破るような人じゃないでしょ?」
ここで約束なんて言葉をかけられれば、思い浮かぶのは一つだけだ。
ついさっき、幸村が佐助にしてきた『命を断て』という命令の、対価。
あの身を引き裂くようなやり取りを思い出して、幸村ががばりと身を起こした。
「お前…記憶が?」
「まぁ、何でか思い出しちまってさ。理由は分かんないけど、あんたがあっちに行ってる間に、全部」
「そう、か」
それを聞いて、あの後佐助が命を断ったということを改めて実感させられた。
佐助は幸村の命令を違えない。そして自分で口にした言葉も違えたりしない。だからついさっき別れてきた、ほんの少し前まで一緒にいた佐助は、あの後確かに幸村の命令通り死を選び、追いかけてきたのだ。
そしてそれを経て今、ここにいる。
「…お前に訪れた死は、安らかだったか」
「うん。まぁね」
「苦しくはなかったか」
「うん」
「辛くはなかったか」
「うん」
「そう…、か」
それを聞いて僅かなりとも安堵した幸村は、泣き笑いのような表情を浮かべた。言葉一つで一人の男の命を奪ったのだから、その重みは半端ではない。
せめてその死が安らかであれば良いと願っていたが、どうやら祈りは通じていたらしい。
しかし佐助はそのことをあまり気にしていないようだった。
「おいおい、あんたを追っかけるって決めたのは俺様だぜ?あんたが気にする必要なんてこれっぽっちも無いでしょ。…それよりさ」
そう言って佐助は未だに幸村の頬に添えてある手を首の後ろに滑らせて、楽しげに微笑んだ。
「約束通り、追っかけて来たぜ旦那。…俺様に言うこと、あるでしょ?」
そう言えばさっきもこの問いを聞かれたか。そう思った幸村は、観念したように溜息をつき、佐助がずっと欲しがっているであろう言葉を口にした。
「好きだ」
1度目は目を見据えながら。
この目に己の姿を映してほしいと切望したのはいつだっただろうか。
それほど前のことでもないのに、かなり昔の記憶のように思えてならない。
目が見たい、声が聞きたい、名前を呼んで、触れて欲しい。
そして、笑顔が見たいと。
あの時願ったのその全てが、今何もかも叶っている。それが、泣きたくなるほど嬉しいのだ。
「お前が好きだ」
2度目は触れるだけの口付けの後に。
少し前の自分なら、こんな行為は考えられなかっただろう。けれど今は自然に出来てしまう。気づいたときから加速して降り積もって、もう溢れて止まらない程に大きくなったこの想いに従うままに。
「好きだ」
3度目は顔を伏せて、耳元で。
好きというありふれた言葉に、こんなにも深く思いを込めることができるなんて、想像したこともなかった。
たった三文字。
そんな短い音がつながっただけの言葉に、愛しい愛しいと思いを込めて、目の前の男へ心から告げる。
次はどうやって伝えればいいだろうか。それを考えながら身を起こそうとすれば、背に回されていた佐助の手がその動きを邪魔してきた。
そんなに力は入っていないため、この緩やかな拘束を振り切って身を起こすくらい簡単だろう。しかし、こうやって身を寄せ合っていれば、鼓動も体温も一番近くで感じることができる。それを思えば抵抗する気は起きなかった。
「やっと聞けた」
そこで佐助がぽつりとそう零した。
顔が見えないためどんな表情をしているか分からないが、聞こえた声は吐息のような、ほんの小さな呟きだった。
佐助はその吐息のような小さな声のまま、ぽつりぽつりと先を続けた。
「俺は、あんたが好きなんですよ」
「ああ」
「何年越しか分かんないくらい、ずっと」
「そうか」
「傍に在れたらそれで良いと思ってたのに。…それじゃもう、足りなくて」
そこで声を切った佐助は、疲れたように長く細い息を吐いた。
今になってやっと幸村は気付いたが、佐助はさっきからずっと呼吸が浅かった。理由など、わざわざ考えなくともすぐに分かる。
「すまん、重いだろう」
そう。こっちへ戻ってきてからずっと、幸村は佐助を下敷きにしたままだ。いくら佐助でも武装した人間にずっと圧し掛かられていれば苦しいだろう。
そう思って体を横にずらそうとすれば、背に回されていた佐助の腕に更に力が込められた。
「佐助」
非難の意を込めて名を呼ぶが、何故か佐助は手の力を緩めない。
「や、もうちょい…このままで」
「駄目だ」
「重くないし」
「呼吸が乱れてる」
「術のせいでへとへとなだけだよ」
「尚更駄目だろう」
そう言えばさっきから妙だと思っていたのだ。口調だけは常と変らないものの、動きが緩慢で力も弱い。日常の動作にさえ支障が出るほどの疲労なのだから、押しつぶしていて良いはずがない。
「佐助」
「あともうちょい」
「駄目だ」
「お願い。…離したくない」
「だ…駄目だ」
佐助らしくない直球の言葉にいくらか幸村も動揺したが、それでも却下した。
言葉で言って聞かないのであれば、実力行使に出るしかない。もともと拘束の力はとても弱いため、振りほどくのは簡単だった。腕を突っ張って上体を起こせば、佐助の腕はあっけなく解けて、そのまま体を横にずらして座れば、佐助は起き上がってまで追ってくることはせず、不服そうな顔で幸村を見ているだけだった。
一応せめてもの抵抗なのか、佐助の手が幸村の手首を掴んでいる。
「起き上がれぬほど疲れているのだろう…?もう休め」
「嫌ですよ、勿体ない」
「時間は明日からでもたくさんある」
「…俺は今がいいんです」
「?」
欲の浅い佐助にしては珍しくそんな我儘を言うかと思えば、その理由は何とも言えないものだった。
「もう、我慢とかはしないって決めたんで」
「?」
「だってのに体動かねぇし、意識飛びそうなほど眠いし」
「…お前」
「ほんとなら滅茶苦茶に抱きしめて、キスして、」
「こら」
何やら普通は言葉を濁すような煩悩をえらく開けっ広げに口にするものだから、幸村は佐助の口を咄嗟に手でふさいだ。佐助はさっきよりさらに不服そうな顔で幸村を見ているが、幸村の手を振り払う元気もないらしい。
「お前は…馬鹿だな」
口を塞がれている佐助は、もう今にも意識を飛ばしてしまいそうなほどに眠そうな顔をしている。
こんな状態になるまで幸村に化けていたというのだから、それはもう必死に幸村が空けていた時間を代わりに埋めていてくれたのだろう。
つまり、責任は幸村にあるのだ。
ならば。
「俺が」
そう呟いて佐助の口をふさいでいる手を退けてやると、幸村は身を屈めた。
「今は、これで我慢してくれ」
拳一つ分もないような至近距離で佐助へとそう告げると、幸村は返事を待たずにその唇を塞いだ。
「…っ」
一瞬だけ佐助は驚いたように目を見張ったが、すぐに順応した。
力無く投げ出されていた手がゆっくりと持ち上げられ、髪に絡めるように頭へと手が置かれた。
触れるだけですませようと思っていた幸村だったが、佐助の手の感触に一瞬だけ動きを止める。
「…足りない」
すると、佐助は唇が触れ合ったままの状態で文句を言ってきた。この状態でも口が利けるのか、とその時初めてそんなことに気付いた幸村は、望み通り上げかけていた顔を再度落とすと記憶を手繰り寄せた。
うろ覚えではあるが、一度経験したあの感覚。
記憶の通りに顔の角度を傾けると、こんな感じだったかと素早く舌を滑り込ませた。
「…っ?!」
佐助の驚きは、今度は一瞬では無かった。
ぎょっと目を見開いて何か驚きの声を上げたようだが、いかんせん口は幸村が塞いでいる。
しかも、深くだ。
「……ぅ」
今までにないほど驚いている佐助は、ぐるぐると目を動かしてまだ混乱していたが、疲れ切った体では何も出来ないらしい。観念したように目を閉じた佐助が幸村の頭へやっていた手からも力を抜いてゆき、それがぱたりと音を立ててシーツに落ちた。
幸村はその手を追いかけるように己の手を伸ばすと、指を絡めてぎゅっと握り込んだ。
佐助の手には碌に力が入っていないが、それでも指が少しだけ動き、握り返されたのが分かる。
それが嬉しくて一人笑みをこぼすと、幸村は唇を離した。
「足りなければ、」
またすればいい。さっきより乱れた吐息とともにそう耳元で囁けば、佐助も同じように息を乱しつつ悔しそうに笑った。
「そんなこと言って…、夜が明けたらまた“破廉恥!”とか言って、触らせてくんない癖に」
「しないさ。…約束してやる」
「…へぇ?」
「本当だ」
重ねて言ってやれば、佐助は心地よさそうに何度か瞬いた。
「じゃあ、その言葉…信じますか」
「ああ」
しっかりと頷いて返せば、もう限界だったかのように佐助の目がゆっくりと閉じてゆく。
そのまま眠りに落ちるかと思われたが、佐助は途中で閉じかけた目をまた開いて、縋るようにその目へ幸村を映した。
とても眠そうなのに、その目が幸村を離さない。
「心配せずとも、俺はここにいる。…お前の傍にいる」
約束するように告げれば、佐助が数度瞬いた。
「もう、離れない」
離さない。
そんな意味を込めて握った手に力を込めれば、佐助はついに目を閉じた。
そして眠りに落ちるように、深く息を吐く。
「だから、佐助」
寝てしまっただろうか。
もう聞こえていないだろうか。
幸村はそれでも良いと思いながら、先を続けた。

「お前も…。お前もずっと、傍に居てくれ」

それは、今だけでなくこの先ずっとという意味だ。
とても長い時間、ともすれば死ぬまで。
数えきれないくらいの時を、傍にいて、ともに過ごしてほしいと。
そんな思いを込めた言葉には、答えがちゃんと返ってきた。
「…当たり前でしょ」
しっかり響いた癖に、眠くて眠くて堪らないという声。
瞼は既に落ちて、繰り返される呼吸も寝息の域だ。
これを言ったのが佐助でなければ、寝言かと勘違いしてしまいそうなほどに。
けれど、その嬉しい以外の言葉が見つからないくらいの答えに幸村は笑みを零し、噛みしめるように目を閉じた。そして、ゆっくりと佐助の隣へ身を横たえ、そっと息を吐く。

目が覚めたら、一番に見るのはお前の顔だろうか。
それとも夢で会うのだろうか。

そんなことを考えながら、幸村は押し寄せてきた睡魔に身を任せた。
両の手で佐助の手を、決して離さないと握りしめながら。










<完>









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おしまい。
(09.08.31)